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クレジットカード業者の経営実態調査

〈株式会社帝国データバンク〉

クレジットカード業者の収入高、5 年連続増

~ 大手・中小すべてで増収傾向 ~


はじめに

キャッシュレス化の動きが進んでいる。経済産業省は 2018 年 4 月に公表した「キャッシュレス・ ビジョン」で、国内のキャッシュレス決済普及率は 2008 年(11.9%)から 2016 年(20.0%)の間 で約 8%上昇したと発表。2025 年に開催される「大阪・関西万博」までにキャッシュレス決済比率 を 40%にする目標数値を設定した。決済の利便性や効率性をアピールし、普及率増加に向けた環境 整備を進めている。


様々なキャッシュレス決済方法の中で、普及率が最も高いクレジットカード。最近では、クレジ ット決済機能をスマートフォンに内蔵した「Apple Pay」や「Google Pay」など、支払いサービスに おける新たなスキームも登場しており、各社の今後の取り組みに注目が集まっている。


帝国データバンクは、2019 年 5 月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約 147 万社収録)に 収録されているクレジットカード業を主業とする 208 社を抽出・集計・分析した。

同様の調査は今回が初めて。


調査結果(要旨)

1.クレジットカード業を主業とする企業の 2017 年度の収入高合計は、前年度を 6.2%上回る 2 兆 9286 億 5600 万円と、過去 10 年で最高を記録した

2.既存会員に対するポイントサービスの拡充、新規会員獲得に向けた加入特典の導入などが奏功 し、収入高合計は 5 年連続で前年度比増加

3.2017 年度の収入高動向を年商規模別にみると、増収の構成比は「100 億円以上」が 70.0%を占め 最高となった。全ての年商規模で増収の構成比が減収の構成比よりも高くなり、年商規模の大小 にかかわらず業績好調な企業が多かった


1.収入高合計推移

クレジットカード業を主業とする企業の 2017 年度の収入高合計は、前年度を 6.2%上回る 2 兆 9286 億 5600 万円となった。過去 10 年間における収入高合計の推移をみると、2012 年度(2 兆 1530 億 8400 万円、前年度比 0.3%減)を底に、以降は既存会員に対するポイントサービスの拡充、新規会員獲得 に向けた加入特典の導入などが奏功し、5 年連続で前年度比増加が続いている。2017 年度は、通販 市場の増加などカード決済範囲の拡大や、スマートフォンでの決済が浸透したことでクレジットカ ードの利用機会が増加し、過去 10 年で最高を記録した。


キャッシュレス
クレジットカード業界の経営状況

2.年商規模別

2017 年度の収入高動向を年商規模別にみると、年商規模の大小にかかわらず増収企業が減収企業 を上回った。特に、年商規模が上がるほど増収企業の割合は高まり、業界大手の企業が名を連ねる 年商「100 億円以上」では増収企業が構成比 70.0%を占めた。その中には、2014 年に設立され“auWALLET クレジットカード”を発行する KDDI(株)(東京都千代田区)の連結子会社 KDDI フィナンシ ャルサービス(株)(東京都港区)など、業歴 10 年未満の新興企業も含まれている。また、年商規 模が「100 億円未満」の中小には、地方銀行や信用金庫などの関係会社が多くみられた。


キャッシュレス
クレジットカード業界の経営実態

3.まとめ

調査の結果、EC サイトの増加などでカード決済範囲が拡大したほか、スマートフォン決済の浸透 といったキャッシュレス化の進展が追い風となり、クレジットカード業者の 2017 年度収入高合計は 過去 10 年で最高を記録。年商規模や業歴に関わらず増収を果たす企業が多いことが判明した。また、 各社、既存会員と新規会員双方に対するサービス拡充を実施しており、収入高合計は 5 年連続で前 年度を上回った。


今後も、金融機関や小売り事業者などの生産性向上に向けた“現金コスト削減ニーズの高まり”、 “訪日外国人の支払い対応”などから、キャッシュレス化はさらに進むことが予想される。しかし、 キャッシュレス決済には交通系電子マネーなどの“プリペイド”や、QR コード決済・デビットカー ドといった“リアルタイムペイ”など支払い方法が多くあるため、クレジット各社はこれらの企業 との差別化を図ることが必要となってくるだろう。


他方で、(株)ジェーシービー(東京都港区)は LINE(株)(東京都新宿区)のスマートフォン決 済「LINE ペイ」領域での連携を強化するなど、一部のクレジットカード業者ではこうした動きも見られ、さらなる成長に繋げている。産官学によるキャッシュレス化推進の強化が進められるなかで、差別化や提携などクレジットカード業者の新たな取り組みが今後どう作用するのか、動向が注目さ れる。


( 内容に関する問い合わせ先 )

(株)帝国データバンク データソリューション企画部 情報統括課 担当:西本 実生

TEL 03-5775-3073 FAX 03-5775-3169 MAIL miki.nishimoto@mail.tdb.co.jp


当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内で ご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。


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